春夏秋冬の四季の間に、日本では「梅雨」という季節がありますね。もちろん、地域によって異なると思いますが、塩原温泉に住んでいると「梅雨」という季節をはっきりと感じます。雨の続くことが多いと「うっとうしいなあ」と感じるし、気温と湿度が高いと「じめじめして嫌だなあ」と思うし、雨の少ない状態が続くと「今年は都会で水不足になるんじゃないか」と心配もするし、この時期はどんな天気になっても物思う・・・といった感じです。
ところで、梅雨の季節を待ちわびている動物たちがいることを忘れてはなりません。写真は、大沼公園周辺で産卵をしている「モリアオガエル」です。しとしとと雨が降り続くことによって、大沼ももちろんですが、その周辺にある赤沼・狩場沼・夏沼といった普段は水たまり程度の沼に雨水が蓄えられます。水がたまった沼の周囲では、お腹の中に卵を抱えたメスのカエルを囲むように数匹のオスが集まり、泡状の袋の中に卵を産みつけていきます。泡状の卵は卵塊(らんかい)といいます。
約2週間後、水の上に張り出した木の枝にぶら下がる卵塊からは、オタマジャクシが水面に落ちて水中生活が始まります。しかし、これには梅雨らしい梅雨となって、沼の水量が保てるほどの雨がきちんと降るという条件が整ってこそのこと。もし空梅雨となって沼の水が干上がってしまうと、オタマジャクシはその場で尊い生命を奪われることになります。
塩原の自然は実に多様で、そして豊かですが、カエルやサンショウウオなどの両生類が生息するためには、幼生での生活をするための水と、成体となって暮らすための森との両方が、良好な環境に保たれることが必要なのですね。私たちは、ついついお天気に一喜一憂してしまいますが、モリアオガエルの産卵の便りが届くと、「やはり梅雨の季節には、きちんと雨が降り続くことがいいのだな!」と思い返します。
大沼公園には、駐車場とエコトイレが設置されています。また、ユニバーサルデザインの木道も整備されていますので、アップダウンのきつい遊歩道は苦手という方でも安心して散策をお楽しみいただけます。雨具を用意して、塩原の森の散策をお楽しみください!

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